2015年11月05日

カバンの中をごそごそ探していた

新幹線の車内

突然、遊びに帰ることを聞いた、比加利の母は驚いた。が、音生も一緒と聞き、安心したようだ。土日しか居れないというと、もっと長い休暇を取って帰ってくるように言われたが、もう学校が始まるので、来月からは、身動きができない。

土曜の始発の新幹線の中で、音生が、カバンの中をごそごそ探していた。
「何探してんの?」
カラコンの、ストック。やだ、忘れてきたみたい」
音生の瞳は、いつもキラキラ大きく輝いている。
「そういえば、上京してから、音生の雰囲気変わったと思ったら、カラコンしてたんだ」
「やだ、今頃気付くのって、遅い~」
音生は、結局、お土産用の袋に、カラコンのストックを入れていたことに気付き、ホッとする。
「実家の人たち、音生の変わり方みたら、びっくりするよ」
比加利より、仕事柄ずっと垢抜けた音生が、なんとなく羨ましい。
「比加利だって、これからの業界で、きっと随分変わると思うよ」
二人は始発で空いている席の窓側に座ってお弁当を食べていた。ぼんやり外の光景をみていたら、新幹線が川を渡った。
「あ!」
比加利は、お箸を落としそうになりながら、あっという間に過ぎ去った光景を振り返っていた。
「どうしたの?」
「今ね、川あったでしょ?」
「うん、渡ったね」
「そこにね、いかだがあったの」
音生は吹き出す。
「いまどき、いかだなんてあるかな?」
比加利は、構わず続ける。
「でね、そこに女の人が乗ってて、こっちに向かって手を振ってたの」
「・・・船山さん?」
「・・・に、似てたような気がする」
そう言いながらも、二人は大笑いした。
「妄想激しすぎるよ、比加利!」
「でも、そうだったら、なんかいいじゃない?」
「そうだね、で、きっと、筑後川にも、いかだに乗った船山さんを発見するんだよ、比加利は」
「ははは、それも面白い!」
二人は、まだまだ続く、故郷への道、そして、未来への道を楽しく過ごしていた。

タグ :カラコン

同じカテゴリー(短編)の記事画像
図書館で啓発本とか借りてきたの
資格が取れるまで、いえ、取れてからも、私、応援してますよ
思いついたのは、ネイルアートの世界だった
同じカテゴリー(短編)の記事
 図書館で啓発本とか借りてきたの (2015-11-02 17:15)
 資格が取れるまで、いえ、取れてからも、私、応援してますよ (2015-10-30 17:05)
 思いついたのは、ネイルアートの世界だった (2015-10-26 17:02)

Posted by 弘せりえ at 17:25│Comments(0)短編
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。